The Official Hokkaido Adventure Travel Guide

2024年02月26日

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インタビュー「旅行者や地域との深いコミュニケーションが楽しい」 – ATスルーガイド・馬上千恵さん

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海外からのアドベンチャートラベラーに同行し、旅をサポートする「スルーガイド」。いったいどのような仕事なのだろう。そのやりがいや苦労、そして将来的な可能性について、北海道で豊富なスルーガイド経験を持つ馬上千恵さんに聞いた。

■スルーガイドは「橋渡し」役

「日本にいながら世界中の人々とつながれるので、新しい価値観に出会えてすごく楽しいし、やりがいを感じています」

北海道各地で15年にわたってガイド業を続けている馬上千恵さんは、生き生きと語る。馬上さんは、2023年に創設された「北海道アドベンチャートラベル(AT)ガイド」制度のうち、「スルーガイド」に認定されている。

スルーガイドとは、ツアー参加者や各分野専門の「アクティビティーガイド」、旅行会社などの橋渡し役。馬上さんは培ってきた英語とガイドの能力を活かして、外国人旅行者を迎え入れている。

「空港でのお出迎えから始まって、食事やアクティビティー、観光などのすべての行程でお客さんに同行するケースが多いです。その間、日本や北海道の文化・歴史を説明したり、質問に答えたり、地域の人々との間に入って通訳したり。表面的ではなく、深いコミュニケーションをとれるのがスルーガイドのおもしろさだと思っています」

■自然と英語の「好き」を仕事に

福島県出身の馬上さんは、大学進学を機に北海道へ。卒業後は道森林管理局に勤務し、森林インストラクターとして札幌市内の景勝地である定山渓で国有林の案内を担当。その仕事を通じて自然に加えて、英語の楽しさに魅了されたという。

「海外からのお客さんや林業研修生に英語を使って案内する機会があって、おもしろいなって。もっと話せるようになって英語を仕事にしたいと思いました」

8年間の公務員生活や、プライベートでは結婚を経て、31歳のときに退職を決断。オーストラリアへ渡り、英語教授法を学んで英語講師となった。30代半ば、夫の転勤で知床半島へ移り住んだ際に、インバウンドが増え始めていることに着目し英語の自然ガイドを始め、通訳案内士の資格も取った。

その後、稚内市や厚沢部町にも住み、インバウンド向けのツアー企画やガイドに携わった。現在は札幌市を拠点に、各地でのスルーガイドをはじめ、新人ガイドの養成や英語接客のセミナーの講師など幅広く活動している。

■「地域密着」がキーワード

ツアー参加者と多くの時間をともにするスルーガイドでは、自身の得意分野だけでなく、さまざまな話題に対応しなければならない。しかも、英語で伝えるわけだから容易ではない。日頃からアンテナを高く張り、ガイドの“ネタ探し”に勤しんでいるそうだ。

では馬上さんはガイド中にどんなところを大事にしているのだろうか。

「お客さんから質問を引き出すように意識しています。雑談をして関係性を築いて、興味や不安を言ってもらえるように。コミュニケーション能力は『引き出す力』だと思うんです。お客さんがいろいろ聞いてくれたら『よっしゃ!』って思います(笑)」

さらに、一貫して重視しているのが「地域密着型」のガイドだ。

「スルーガイドの役目は『つなぐ』こと。だから自分が地域のこと、そして地域の人を知らないといけないと思うんです。英語がわからないローカルのお店の方でも、私が間に入ることで安心して外国人旅行者を受け入れてくれたらうれしいですし、実際、言葉の壁を超えて交流できたときには、お客さんだけでなくお店側にもすごく喜んでもらえるんですよ」

■高まるオーセンティックな旅の需要

馬上さんは、地域に暮らすスルーガイドの育成とともに、地元の人々に英語に親しんでもらおうと「はんぶん英語ツアー」と題した英語を学びながら札幌市内を巡るプログラムも行っている。

北海道ならではの物語を伝えるアドベンチャートラベルでは、「人」の存在が欠かせないからだ。

「ツアーに参加したアメリカの方に旅のハイライトを聞いたら、『人だよ』という答えが返ってきたことがありました。自然や街での体験を通じた人との交流というのが旅の思い出になることは多いですよね。『オーセンティック(本物の/正真正銘の)』な体験を求める旅行者は増えていて、スルーガイドという仕事には可能性が大きいと思っています」

【プロフィール】
馬上千恵(もうえ・ちえ)
北海道アドベンチャートラベルガイド(スルーガイド)・通訳案内士・森林インストラクターなど。1973年、福島県生まれ。帯広畜産大学卒業後、北海道森林管理局に8年間勤務。オーストラリア留学を経て英語講師となり、これまでに斜里町などの知床半島、稚内市、厚沢部町に住んで英語の自然ガイドやインバウンド向けツアー企画など行う。2020年から札幌市拠点。全国のガイド養成講座や英語接客セミナーなどで講師を務めている。https://msenglish-network.com/

《聞き手・記事制作》時事通信社 札幌支社

※アドベンチャートラベルガイドについてはこちら

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