厚岸霧多布昆布森国定公園
湿原と断崖が語る大地と海の交わり
～生命あふれる湿原と海～
2021年3月30日、環境省に指定された厚岸霧多布昆布森国定公園は、北海道東部の太平洋側に位置し、釧路町、厚岸町、浜中町、標茶町の4町にまたがるその総面積は、41,487ha（うち陸域32,566ha）にも及び、釧路湿原国立公園（28,788ha）の約1.4倍と広域な公園となります。海岸線の後退と砂の堆積で形成された「霧多布湿原」、河岸に水をため続けることによって形成された「別寒辺牛湿原」といった形成過程が異なる2つの湿原が、ほぼ原生的な状態で残されています。また、「厚岸湖」「火散布沼」などの海跡湖のほか、昆布森から尻羽岬、愛冠岬から琵琶瀬に至る海岸線の海食崖、さらには、「大黒島」「嶮暮帰島」の島々など、変化に富んだ景観が広がっています。
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霧多布湿原
霧多布湿原は太平洋に面した琵琶瀬湾、浜中湾の海岸線に沿って広がる、面積3,168haの湿原で、その一部分（2,504ha）がラムサール条約に湿地登録され、中央部（803ha）は霧多布泥炭形成植物群落として国の天然記念物に指定されています。ラムサール条約に登録されているのは、霧多布湿原の主要部分と湿原の西に位置する2つの汽水湖、火散布沼・藻散布沼で、国指定鳥獣保護区の特別保護地区に指定されています。低層湿原から高層湿原までバラエティ豊かで、湿原内では、さまざまな鳥類の観察、エゾシカなど大型哺乳類の姿を見ることができます。
別寒辺牛湿原
別寒辺牛湿原は厚岸湖に注ぐ別寒辺牛川とその支流に沿って細く枝状に広がっており、総面積は約8,300haで、ほとんどがヨシ・スゲの湿原で、その大部分は人が足を踏み入れることのない自然の姿をとどめています。別寒辺牛湿原とともに、太平洋に接する汽水湖である厚岸湖は国指定鳥獣保護区に指定されており、厚岸湾全域を含む特別保護地域がラムサール条約に登録されています。汽水域から森林までの多様な環境には多種の鳥類が生息しており、これまでに約240種が記録されています。渡り性の水鳥は、オオハクチョウ、カワアイサ等カモ類が多く、中継地・越冬地として利用しています。また、オジロワシ、タンチョウ等の絶滅危惧種の繁殖地でもあります。
