The Official Hokkaido Adventure Travel Guide

アイヌ文化

place: Shiraoi

北海道の先住民族であるアイヌ。アイヌの人々は独自の言語と豊かな感性の文化を持ち、口承で受け継がれてきた「ユーカラ」と呼ばれる叙事詩や熊を讃え熊の魂を神の国へ送り返す「熊の祭 イオマンテ」、アイヌ文様の工芸品などに反映されています。現在では、アイヌの伝統的な生活様式を続ける人は少ないものの、アイヌ文化の核心はしっかりと受け継がれています。こんにちのアイヌの人々は、継承された文化を尊重しながら新しい民族文化を育んでいます。

カムイとともに ― アイヌの世界観

人間の衣食住に必要なものすべてが自然の恵みから与えられるものですが、自然とは与えるだけでなく、奪っていくものでもあります。アイヌの信仰では、動物や自然現象、さらには人間が作った道具に至るまで、あらゆるものに魂が宿っているとされます。動植物など人間に自然の恵みを与えてくれるものをはじめ、火や水、生活用具まで暮らしに欠かせないものはみな「カムイ(=神)」であり、天候でさえもアイヌの人々が敬う「カムイ」なのです。

地域によって異なるものの、特に大切で身近なカムイとされているのが火のカムイです。火は人間に温もりと光を与え、人間の訴えや願いを他のカムイに伝える存在とされています。また、ヒグマやフクロウ(シマフクロウ)も最高位のカムイの一つと考えられています。

カムイへの祈り ― カムイと人間のつながり

「アイヌ」とはアイヌ語で「人間」を意味する言葉で、「カムイ」との対比で使われます。アイヌ民族の信仰によれば、この世界は人間とカムイとが互いに関わり合い影響しあう関係です。カムイは普段はカムイの世界に住んでおり、人々が願い祝う時のみ人間の世界にやってきます。

動物のカムイが肉や毛皮など、人間が生きるために必要なものを与えにやってくるように、カムイは人間の生活維持や役に立つものを人間に与えてくれます。こうしたカムイの恵みに対して人間は感謝し、困ったときは様々な儀式の道具を使ってカムイに祈る(カムイノミ)のです。

歌・踊り・楽器

世界の他の文化と同様に、アイヌ民族の文化も独自の伝統的な歌と舞踊を通して形作られてきました。舞踊に輪になって踊るものや、鳥や動物の動きを取り込んだ踊りなどは様々な種類があります。また、男性が腕を上げ下げしながら床を踏み鳴らす厳粛で荘厳な踊りや、弓矢や剣を振りながら舞う踊りもあります。

アイヌの歌の中には、複数の女性が漆塗りの容器の蓋などの周りを取り囲んで座り、蓋の縁を手で叩いてリズムを取りながら歌うものがあります。また、穀物の杵つきなど、作業の様子を表現した歌や子守唄、特定の出来事の記憶を喚起するために作られた即興歌などもあります。

伝統的な楽器には、竹製の細長い板のような弁を口の中で振動させ、その共鳴で音を出す「ムックリ」や、主に樺太アイヌに伝わる弦楽器「トンコリ」などがあります。

アイヌの伝統的な歌と舞踊はユネスコ無形文化遺産に登録されており、各地の保存会もアイヌ文化の継承を後押ししています。これらの伝統芸能を研究し、新たな作品を創作している人々もいます。
(資料:北海道観光振興機構のパンフレット「北海道のアイヌ民族」)

アイヌ文化については、AINU GUIDE PORTALもご覧ください。