名店揃いの激戦区!知っておきたい北海道ラーメンのこと
美食の宝庫・北海道。数ある「うまいもの」の中でも、旅行中につい食べたくなるのがラーメンです。
北の大地には、地域ごとに特色のあるラーメンがいっぱい。激戦区で切磋琢磨して腕を磨いたラーメン店に、ぜひ足を運んでみてください。
北海道遺産にも登録されている「北海道のラーメン」
日本全国どこにでもあるラーメンですが、北海道ほど多彩なタイプのラーメンを楽しめる場所はそうありません。なんと「北海道のラーメン」が北海道遺産にも登録されているほどで、道民にとって欠かせない生活の一部なのです。
ほとんどのラーメン店で味噌・塩・醤油の3味を揃えて提供しているのも、全国的に珍しい傾向なのだそう。小麦の生産が盛んな北海道には製麺所も多く、製麺所ごとの麺の違いを味わうという通の楽しみ方も。北海道では、ラーメン店の開店時に製麺所が自社名入りの暖簾を贈る風習があるので、店先の暖簾でチェックしてみましょう。
専門店だけでなく、食堂や蕎麦店などでラーメンが人気メニューになっているお店も要チェック! 専門店とは一味違う、その地域に根ざした味わいのラーメンが楽しめます。広い北海道を巡りながら、お気に入りの一杯を探す旅も楽しいですよ。
「麩」入りのラーメンはスープ自慢の証?
北海道と東北地方の一部で、ラーメンの具として使われることがあるのが「麩」。スープを吸ってフニャフニャになった麩を食すと、旨味たっぷりのスープがじゅわーっと口いっぱいに広がります。ラーメンに麩が入っているお店はスープに自信あり……かもしれません。ラーメンを食べる際は、具材にも注目してみてください。
知名度NO.1!札幌味噌ラーメン
北海道ラーメンの中でも、全国で最も知名度の高いのが札幌味噌ラーメン。コシのある中太ちぢれ麺に、豚骨や鶏ガラを使った濃厚スープ、トッピングは栄養たっぷりの炒め野菜多め……が今の主流ですが、そんな札幌ラーメンのルーツは塩味の中華そばでした。大正時代に創業した中華料理店「竹家食堂」が札幌のラーメンの元祖と言われています。その後「味の三平」が開発した味噌味のラーメンが全国的なブームを巻き起こし、札幌味噌ラーメンの礎となりました。
観光客に人気の「味噌バターコーンラーメン」は、バターでまろやかになったスープとコーンの甘みが溶け合う絶品ですが、実はこれ、地元民がほとんど注文しないメニュー。味噌ラーメンを頼むならバターとコーンは抜きにするのが、札幌でラーメン通を気取るコツです。
函館っ子のソウルフード。函館塩ラーメン
函館のラーメン店でただ「ラーメン」と注文すると塩ラーメンが出てくる……そう言われるほど市民に愛されているのが函館塩ラーメンです。ダシの旨味が詰まったすっきりとした透明なスープに、のどごしがいいストレート細麺、そして具はシンプル。さっぱりとした中に深い味わいを感じて、スープを飲み干してしまう人も多いそう。
そんな函館塩ラーメンは、国内でも有数の長い歴史を持っています。1884(明治21)年の新聞広告に「南京そば」という記述があるのです。もしかしたら、日本最古のラーメンは函館で食べられていたのかもしれません。
サイドメニューも楽しんで!
北海道では鶏の唐揚げのことを「ザンギ」と呼びますが、函館には「ザリージ」という料理があります。豚肉のザンギ風天ぷらのことで、肉をタレに漬け込んで味付けする調理法もザンギと同じ。昔は中華料理店やラーメン店のサイドメニューでよく見かけたザリージですが、残念ながら今では提供店舗が減ってしまっています。もし見つけたら、ぜひ注文してみてくださいね。
寒地ならではの工夫が詰まった、旭川醤油ラーメン
札幌の醤油、函館の塩と並ぶ北海道3大ラーメンのひとつが旭川醤油ラーメンです。豚骨と魚介をブレンドした「ダブルスープ」が定番。その昔、養豚業が盛んだった旭川で、豚の骨を活用するために豚骨スープが考え出されたのですが、特有の臭みを消して風味を加えるために煮干や昆布等を併用するようになったと言われています。
さらに、スープが冷めにくいよう表面をアツアツのラードで覆うのが旭川流。冬は氷点下となる土地ならではの工夫です。トッピングはネギ、メンマ、チャーシューとシンプルが基本。また、旭川ラーメンに多い低加水の中細ちぢれ麺は、麺が伸びやすい一方、茹であげ直後にスープを吸収しやすく麺に絡みやすい特徴があります。
まだまだあります!ご当地ラーメン
北海道3大ラーメンのほかにも、広い北海道にはたくさんのご当地ラーメンがあります。地元の特産品を使用したものや、風土に合わせて変化したものなど、その土地でしか食べることができない一杯ばかり。わざわざ足を運ぶ価値がある北のラーメン、ぜひご賞味ください!
- 釧路ラーメン(釧路市)
- 札幌・函館・旭川の3大ラーメンに続く人気の釧路ラーメン。食べ飽きない醤油ベースのあっさり味で、忙しい漁師に早く提供するために極細ちぢれ麺を使用するようになったそうです。また、港町で朝が早い釧路には、朝からラーメンを食べる習慣があります。釧路に泊まったらぜひ「朝ラー」を楽しんでみては?
- 室蘭カレーラーメン(苫小牧市・室蘭市)
- 苫小牧や室蘭を中心に食べられているのがカレーラーメン。もっちりとした太いちぢれ麺に甘辛い独特なカレースープがさらっと絡んで、意外と軽い食べ心地です。チャーシューや野菜とともにワカメが盛られていることが多いのも特徴。スープの味わいは店によって違うので、食べ歩きも楽しいですよ。
- 利尻ラーメン(利尻町)
- 北海道の北に浮かぶ利尻島まで、わざわざラーメン好きが足を運ぶ利尻ラーメン。見た目は淡泊そうですが、利尻昆布をたっぷり使用したパンチの強い和風スープに動物系スープをブレンドしたダブルスープがもちもちとした中太のちぢれ麵に絡み、箸が止まらないほどの美味しさです。追加トッピングにはとろろ昆布がおすすめ!
- 上川ラーメン(上川町)
- 大雪山麓の湧水で作った麺やスープ、さわやかな空気、豊かな緑と三拍子揃ったことから「日本一ラーメンのおいしい町」を掲げているのが上川町。ラードを加えたスープや中細ちぢれ麺など旭川ラーメンに似ていますが、豚骨のみでダシを取るのが主流です。素朴な味わいで、また訪れて食べたくなるやさしいラーメンです。
- ガタタンラーメン(芦別市)
- タケノコ、豚肉、うずらの卵など10種類以上の具を入れ、とろみをつけた芦別名物の中華スープ「ガタタン」。これに麺を合わせることで誕生したご当地ラーメンです。食べ飽きないあっさり塩味のスープがアツアツで、身体もホカホカ温まりますよ。
- 登別地獄ラーメン(登別市)
- 登別温泉街のラーメン店「味の大王 登別温泉店」の名物は、地獄谷の赤鬼をイメージしたスパイシーな「地獄ラーメン」。1丁目、2丁目と追加で辛さをプラスでき、10丁目以上を完食すると店内の壁に名前を貼り出してもらえます。閻魔様をモチーフにした、あんかけ風の「閻魔ラーメン」も人気です。
ラーメンだけのフードコート!? お腹がはちきれるまで食べ歩き
「いろんなラーメンを食べたいけれど、お店を巡る時間はない……」「どのお店がいいかわからない……」そんな方におすすめなのが、複数のラーメン店が1か所にまとまったスポット。お腹を空かせて出かけて、有名店のラーメンの食べ比べも楽しいですよ!
- 元祖札幌ラーメン横丁(札幌市)
- 札幌グルメを代表する観光名所といえばラーメン横丁。ビルが立ち並ぶ中心街にありながら、一歩足を踏み入れると昭和にタイムスリップしたような昔ながらの雰囲気に包まれます。有名店が軒を連ねているので、お店選びに迷ったらまずはここへ向かいましょう!
- 元祖札幌ラーメン横丁公式サイト
- 北海道ラーメン道場(千歳市)
- グルメな空港として知られる新千歳空港。その一角にある「ラーメン道場」には、道内各地の実力店が軒を連ねています。旅行中にラーメンを食べられなかった人はもちろん、帰る前にまた食べたいという人にもピッタリ。飛行機を待つ間にもう一度、北海道ラーメンを味わっていきませんか?
- 北海道ラーメン道場公式サイト
- 新ラーメン横丁(札幌市)
- 薄野交番の隣にある雑居ビルの1階に、5軒ほどのラーメン店が並んでいる「新ラーメン横丁」。すすきのの一角で、個性的なそれぞれのお店が腕を競っています。飲み歩いた後のシメや、ちょっと温まりたい時にも便利なスポットです。
- あさひかわラーメン村(旭川市)
- 旭川の有名店が集まる人気スポット。旭山動物園と旭川空港の通り道にあってアクセスも便利で、ここ一か所で手軽に旭川ラーメンを堪能することができます。施設内にある「あさひかわラーメン神社」は、縁結びならぬ「麺結び」がテーマ。スープのように熱々の仲が、麺のように長く続きますように!
- あさひかわラーメン村公式サイト
ラーメンを食べて、地域の歴史や文化に触れよう
ご紹介してきた北海道のラーメンですが、近年では創意工夫を凝らした店舗が増え、「札幌=味噌」「函館=醤油」「旭川=醤油」という固定観念にとらわれないラーメンも続々と誕生しています。海老のスープや煮干しスープ、山椒の効いた"痺れ"を売りにしたスープなど、そのジャンルは多岐に渡ります。訪れるたびに違うラーメンに出会えますよ。
また、道内各地にはその土地の歴史や文化の影響が色濃いラーメンがあります。それぞれの地域を訪れて特徴的なラーメンを食べて歴史や文化の一端に触れてみるのも、北海道の旅の醍醐味です。