寒さと雪を楽しむ!北海道・冬キャンプのすすめ

寒さと雪を楽しむ!北海道・冬キャンプのすすめ

ソロキャンプやグランピングなど、新しいスタイルのキャンプが定着する中、澄んだ夜空にきらめく星や、焚き火の炎に癒される「冬キャンプ」の人気が高まっています。道内でキャンプコミュニティマネージャーとして活躍する川手有沙さんに、冬キャンプの魅力と楽しみ方、おすすめのキャンプ場について聞きました。

Profile

北海道キャンプコミュニティマネージャー

川手 有沙さん

北海道出身。2019年に小学校教員を退職し、WEBサイト「Possibility.Labo*ポジラボ」とYouTubeチャンネル「Keitan's Camp」を運営。キャンプ道具とカメラ機材と一緒にこれまで訪れた北海道のキャンプ場は100ヶ所を超える。日本キャンプ協会公認キャンプインストラクターの資格を有し、2023年春に出版された『北海道極上キャンプ』にも参加。キャンプイベントの企画や運営なども行う。

それぞれの季節を楽しめるのがキャンプの魅力

ちょっと前までは「キャンプは夏にするもの」というイメージで、寒さが早く訪れる北海道ではそれが常識になっていました。冬のキャンプは一部のコアなキャンパーたちがひっそりと楽しんでいたのですが、ここ数年で一気にその人口が増えて、冬にも営業するキャンプ場が続々と誕生しています。


私が考えるキャンプの魅力は、それぞれの季節をダイレクトに実感できること。冬のキャンプなら、夏とはまったく違う景色の中で過ごせることです。一面の銀世界が朝日に輝いていたり、葉を落とした木々に雪が積もっていたり、寒いからこその美しいシーンは、何度写真や映像に撮っても飽きることがありません。キャンプの醍醐味の焚き火も、冬のほうがその温かさが身に染みますし(笑)。

はじめての冬キャンプならコテージがおすすめ

たとえば、行ったことのあるキャンプ場が冬にオープンしているからといって、初心者がいきなりテント泊をするのはおすすめできません。テントや寝袋も雪山仕様のものが必要ですし、凍りついた地面ではテントの設営にも苦労します。また、地面からの冷気を遮断するインフレーターマットも必需品。これがないと寒くて眠れません。冬のテント泊は、経験豊富な人と一緒に始めると安心ですよ。


初心者やファミリー層なら、コテージでの冬キャンプがおすすめです。暖房やトイレもあって快適に過ごすことができますし、一歩外へ出れば厳しく美しい冬の北海道の風景が広がっています。雪の中で焚き火をして、料理をしたりマシュマロを焼いたりするのも楽しいし、思い出に残ること間違いありません。

おすすめの冬キャンプ場①
オートリゾート苫小牧アルテン(苫小牧市)

苫小牧港から車でおよそ30分の場所にある、フェリーで苫小牧に来る方には便利なキャンプ場です。テントサイトのほか、バンガロー10棟、キャビン10棟、ログハウス3棟があり、11~3月の冬期間は割引料金で利用できるので、はじめての冬キャンプには特におすすめ。冬場はトイレも水場もセンターハウスのみとなりますが、センターハウス内の売店は通年営業で、焚き火や薪ストーブに欠かせない薪も手に入ります。

おすすめの冬キャンプ場②
北広島かえるキャンプ場(北広島市)

2022年7月、北広島市にグランドオープンした新しいキャンプ場です。設備が整った高規格キャンプ場なので、初心者やファミリーにもおすすめ。キャンプの消耗品や日用品、肉などの食材やカップラーメンまで充実のラインナップの売店があって便利です。何といってもポイントが高いのは、炊事場に給湯器が付いていてお湯が使えること!近くの「竹山高原温泉」で日帰り入浴が楽しめるのもグッドです。

おすすめの冬キャンプ場③
フォーエバーキャンピングパラダイス(千歳市)

もともとパークゴルフ場だった場所を、2021年9月に冬キャンプも可能な通年営業キャンプ場としてリニューアルオープン。新千歳空港から約2kmという便利なロケーションで、離陸後の飛行機が去っていく様子もよく見えるキャンプ場です。周囲に高い建物がないので、晴れた夜にはまるでプラネタリウムのような一面の星空が広がります。よく霧が出るそうで、冬の朝に太陽が昇ったあとに霧が立ち込めると幻想的な景色に!

おすすめの冬キャンプ場④
ユーカラパーキングキャンプ(七飯町)

大沼国定公園内にある「RVパークおおぬま」に新たに開設された、道南には数少ない冬キャンプスポット。JR大沼公園駅から260mという抜群のアクセスで、キャンピングカーでの利用もOKです。ここの炊事場がスゴいのは、蛇口から飲める温泉「飲泉」が出しっぱなしなこと。温度は25℃ほどで、冬の洗面や食器洗いも快適です。結氷した大沼で、氷上わかさぎ釣りや氷上スノーモービルなどのアクティビティも楽しめます。

おすすめの冬キャンプ場⑤
十勝ワッカの森キャンプ場(清水町)

帯広市の「相澤ワイナリー」がプロデュースする高規格キャンプ場で、十勝らしい広大な敷地内を有しています。白樺に囲まれた林間サイトが人気ですが、極寒冷地仕様のドームテントとBBQテラスを備えたグランピング施設もあり、好きな食材を持ち込んでのグランピングが楽しめます。オプションでテントサウナがレンタルできるので、十勝の冬の大自然の中で「ととのう」を体験する贅沢な冬のひとときを楽しんでみては。

おすすめの冬キャンプ場⑥
くったり温泉レイクインキャンプ場(新得町)

新得町にある「くったり温泉レイクイン」の敷地内に、2021年4月にグランドオープンしたキャンプ場です。北海道の湖畔にあるキャンプ場はほとんどが冬季間休業するので、湖畔の冬キャンプができる場所はとても貴重です。もちろん温泉も利用可能ですが、湖畔側にはアウトドアサウナがあります。サウナの後は、水風呂の代わりに湖に入ってクールダウンするというフィンランド式の本格サウナ体験ができますよ。

防寒対策や火器の取り扱いには細心の注意を!

冬のキャンプで大事なのが寒さ対策です。なるべく肌を出さないよう、帽子、スヌード、革手袋、防寒靴は必需品。温度調節ができるブランケットやカイロ、湯たんぽなどもあると便利です。また、料理などに使うカセットガスは缶が冷えると燃えにくくなるので、使う直前までバッグの中に入れておくと安心です。冬のテントや屋外では、スマホのバッテリーが尋常ではない速さで減ってしまうので、モバイルバッテリーもお忘れなく。 


テントから煙突を出して、薪ストーブを楽しむ人も増えました。テントの中で火を使う場合は、定期的にテントを開けるなどして換気してください。不完全燃焼を起こすと一酸化炭素中毒の危険があり、最悪の事態もあり得ます。一酸化炭素は無色・無臭なので、テント内には必ず一酸化炭素警報器を、できれば複数個置いておくとより安心。命に関わることなので、しっかりとした知識を持つことが必要です。

無理をしないことが冬キャンプを楽しむコツです

あまりにも寒くて辛いときには、絶対に無理をしないでください。冬キャンプは楽しむもので、我慢するものではありませんから。初心者は、いざというときに避難できる宿泊施設が近くにあるキャンプ場を選ぶのがいいと思います。少しずつ経験を重ねて慣れていくと、冬キャンプの世界がどんどん広がっていきます。一年を通してキャンプを楽しみながら、北海道の四季の魅力を肌で感じてみてくださいね。

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