開業100周年に「美しい変化」を掲げる老舗温泉宿

開業100周年に「美しい変化」を掲げる老舗温泉宿

札幌の奥座敷と呼ばれる定山渓温泉街にある、ホテル鹿の湯と別館花もみじ。その昔、湧き出た源泉が負傷した野生の鹿を癒したと伝えられていることから「鹿の湯」と名付けられました。創業以来100年近くの歴史を誇る鹿の湯グループは、世界大戦や原因不明の火災によるホテル全焼、バブル経済、コロナパンデミックなどの紆余曲折を経て、今なお定山渓の老舗として本館・別館と規模を拡大中。時代の流れに左右されない定山渓温泉・鹿の湯の魅力とビジネスモデルについて、社長の金川さんにお話を伺いました。

Profile

ホテル鹿の湯代表取締役社長

金川浩幸(かながわ ひろゆき)さん

1983年札幌生まれ。1927年創業と、現存する定山渓温泉のホテルでは2番目に古い歴史を持つ老舗温泉宿「ホテル鹿の湯」の4代目。定山渓温泉観光協会の理事として地域活性化のために日々挑戦し続けている。

素敵な思い出作りのお手伝い

鹿の湯は、「日本文化を継承する旅館になる」という経営理念を今も貫いています。文化の意味合いは時代やトレンドとともに変化しますが、鹿の湯の中心にある「素敵な思い出作りのお手伝い」という理念は変わらないと考えています。また、地域が発展して初めてお客様が来るのですから、常に「地域あっての温泉宿」という感謝の気持ちが根底にあります。


鹿の湯で提供している施設やサービスにも、同じ考え方が込められています。例えば、本館にはカラオケ、居酒屋、バー、卓球場などの昔ながらの施設があります。一方で、ゆっくり過ごしたいという現代人の旅行スタイルに合わせて、別館の1階ロビーにはCDコンサートが楽しめるラウンジや、時間帯によって内容が変わる無料のドリンク・お茶菓子のサービスなどをご用意。ご宿泊のお客様に、ご自由にお楽しみいただいています。


花もみじの客室には、セイロで蒸したての温泉まんじゅうやお茶をご用意してお客様にお楽しみいただいていますが、これにも理由があります。お部屋でほっとお寛ぎいただくことはもちろん、夕食前の空腹時に入浴をするお客様の血糖値上昇を防ぐためでもあるのです。

伝統文化を継承するという使命

日本の宿には、伝統文化を継承するという重要な使命があります。畳や浴衣、会席料理など、ホテルで提供される日本文化は、現代では日本人ですら日常生活で触れる機会が少ないものばかりです。ホテルに滞在することが、国内外の観光客にとって日本の伝統文化について知る機会になるのではないかと期待しています。日本に古くから伝わる伝統や文化といえども、時代の流れや生活習慣の変化などの影響で本来の姿とは異なっている場合がありますが、原点に立ち返るとその歴史的背景を理解することができます。

「一期一会」の心で旅を楽しむ

温泉やおいしい料理を楽しんだ後は、浴衣を着て温泉街を散策したり、館内施設でゆっくり過ごしたりというのも良いのですが、旅を楽しむ方法として、茶道の心得である「一期一会」の実践をおすすめします。


具体的には、旅行前にあまりきっちりとした予定を立てないということです。ホテルや観光案内所のスタッフ、さらには通りかかった地元の人などにおすすめのお店やスポットを聞いて、そこでの「一期一会」を楽しんでみてはいかがでしょうか。旅に余白を持たせることが、思いがけない新たな出会いにつながるはずです。

定山渓の豊富な観光資源を味わう

温泉が有名な定山渓エリアですが、実はエリア全体が「温泉街」「豊平峡」「八剣山」「スキー場」に細分化されています。各エリアには、独自の観光スポット、体験アクティビティ、地元のグルメなど豊富な観光資源がありますので、それぞれをゆっくりと巡る旅をおすすめします。また、定山渓の最大の魅力は四季折々の美しい眺めです。ぜひ何度も定山渓エリアに滞在していただき、春夏秋冬それぞれの魅力を味わっていただきたいと思っています。

老舗温泉ホテル4代目の挑戦

開業100周年を迎えようとしている鹿の湯ですが、特別なセレモニーは考えていません。それよりも、これまで支えていただいた多くのお客様により寛いでいただけるよう、2022年に客室や施設をリニューアルしました。4月に全客室温泉付き特別フロアを、12月には本格サウナと掛け流し沢水風呂「鹿の蒸」をオープンしています。


リニューアルコンセプトに「美しい変化」を掲げ、時代によって変えるもの、あえて変えないものを改めて見つめ直しました。ご滞在がより寛ぎ、より愉しく、素敵なひと時となるような「しつらえ」と「おもてなし」で、これからも素敵な思い出づくりのお手伝いをさせていただきたいと考えております。

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